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8月, 2005 | 建築雑感 | 小川真樹建築綜合計画
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イタリア-7:屋上の大地

シエナの屋根『マカロニ』という映画がありました。好きな映画です。主演のマストロヤンニが老いた母を訪ねると、彼女は屋根の上の野菜畑に囲まれて、下界には何年も降りていないという風情で暮していました。そこはまるで屋上という名の大地の上のようでした。

いつの時代からなのかは分かりませんが、どうもイタリアの街は屋根の上に人が出ることを前提に造られているように思います。

『マカロニ』はナポリでしたが、上はシエナで下はフィレンツェ、ストリート側のファサードが軒を揃えたデザインになっていても奥にいけば塔屋が交錯し瓦屋根に挟まれた小さなスペースでも平らなところを造って外に出てやろうという涙ぐましい工夫が見られます。防水などは怪しいものです。しかし日本のように屋上に設備機器が並んだりそれをルーバーで隠したりという風景はついぞ見ません。それに建物の高さがそろっているのでそこに行けば地平線すら存在しています。やはり屋上は第二の大地なのです。

日本でも行政主導で屋上緑化などは少しずつ進んできましたが、場所としての生きたアイデアが必要になってくるのはこれからでしょう。
フィレンツェの屋根



イタリア-6:鎧窓に思う

どの街に行っても窓を見ればヨロイマド。木製の外付型で、最も多いのは写真のような観音開きですが、その他にも様々な形態があります。写真にはありませんが秀逸なのは上部のヒンジで蔀(しとみ)戸のように庇状にはね上げるものでしょう。「はね上げ」と「開き」を組み合わせたものもあります。これらの鎧窓は通風を採りながら日射を制御する極めて機能的なものです。

もちろん直接比較する事はできませんが、日本では、本来必要だった深い”のき”の影が薄くなってしまって以来、日射に関して少し無神経なように感じます。特に夏期の熱負荷を減らす為にはガラスそのものの性能をアップさせるよりもその外側で日射を受けるのがいちばん。

最近ではサッシ廻りの防犯性能を強化するというような流れもありますが、そんなことも併せて考えると鎧窓は良い方法なのではないでしょうか。。。『田浦の家』では可動ルーバー付の折雨戸を使いましたが、集合住宅などで使えるより安価で汎用性の高い製品が望まれます。
窓



イタリア-5:インテリア化

ショップ街そのものが歴史的建築物で埋めつくされたような旧市街地であっても、建築はその表情を少しずつ変えながら活力を持って生き続けています。そうした中で良く見る事ができた手法にエクステリアのインテリア化がありました。

右は中庭部分にガラスの屋根を造って増築されたショップで、同様のものは他にもいくつか見られます。

下はミラノの Fourseasons Hotel ですが、修道院の回廊部分を良く考えられたディテールのガラススクリーンでインテリア化しています。
こうした手法は「外壁」が内装になるという面白みだけでなく時代が要求する機能への転換という意味でとても効果的だと思いますが、フォーシーズンス日本でこれをやろうとしても多くの場合には既存遡及を含めて法規的な困難がありそうです。建築の長寿命化が今や誰もが考えねばならない環境的なテーマだとすれば、日本の法規制もより柔軟になっていって欲しいものです。